塩屋が誕生した沖縄県には製塩所が多く、「塩のメッカ」と呼ばれています。サンゴ礁を育む美しい海の水を取水し、煮詰める製法が主流ですが、海水の成分を凝縮した粉末状の塩もあります。 作業工程のひとつひとつに職人のこだわりがあり、手塩にかけた多種多様な塩が作られています。
日本は海に囲まれているため、取水した海水を濃縮し結晶化させるための土地の確保も容易ではありませんでした。いかに効率よく生産性を高めるか。その技術改革に歴史を費やされてきました。
塩の製法として初めて登場したのが「藻塩焼き」でした。海に囲まれた日本ならではの、この製法は万葉集にも記録が残されています。その後も海水を散布する「揚げ浜式塩田」、潮の干潮を利用した「入り浜式塩田」など、地域特有の発展を遂げていきました。 しかし、1971年に施行された塩の専売制により、それらの製法による製塩の販売が禁止されてしまいます。塩は、精製塩のみになってしまいました。
塩の自由化に伴い、より多くの製法が編み出されるようになったのは、2002年以降のことです。
ボリビアのウユニ塩湖、イスラエルの死海、フランス・ブリターニュ地方のゲランド・・・。
その名前は耳にしたり、写真や映像で見たことのある人も多いのではないのでしょうか。見わたす限り真っ白な塩の大地をブルドーザーが行き来し、塩を採取する。そんな光景、日本ではちょっと考えられませんね。
世界の塩の主流は、悠久の時間をかけて作り上げられた岩塩です。次いで多いのが広大な土地を活用した「天日塩田」で、日本のように煮詰める製法はごく稀なのです。
ヨーロッパなど、肉を好んで食べる地域では、ハーブをブレンドした塩が好まれる傾向があります。またヨードが不足しがちな地域ではヨードを塩に添加し、栄養分を補う場合があります。
南米ボリビア共和国の南西部、標高3700メートルの高知にある塩湖で、面積は四国の半分以上。今から2億年近く前、氷河から溶け出した水が土地の塩分を溶かしながら低地にたまって湖ができたと考えられている。川がないため、水分の蒸発により湖底に塩が堆積。岩塩の層となり、現在のウユニの湖底を形成している。 雨期は湖底の岩塩を溶かし、水深50センチメートルほどの湖になる。寒気が強まる4月、湖は一面、結晶した塩で覆われ、彩塩作業がはじまる。最盛期は6月。世界中を周った旅の強者たちが「これほど美しいところはない」と称する場所でもある。
どの塩を選んだらいいのか、判断するのは中々難しいものです。 そんなときは、食材の産地と合わせて塩を選ぶ、というのもひとつの方法です。 塩の味わいの違いは、産地や製法はもちろん、その地域の食文化にも大きく影響されています。 その土地でとれた食材とその土地で作られた塩を合わせると、スムーズに馴染むことが多いのです。 塩選びに悩んだら試してみてください。