アル・ケチャーノのスペシャリストのひとつひとつに「ワラサと塩という」、コース料理の最初のに灯されるひと皿がある。今日の圧内浜の魚はどんな味なのか、お客様に伝える役割があるという。ワラサとは小さいブリのこと、その切り身に塩とオリーブオイルをかけるだけの、とてもシンプルな料理だが、必ず「月の雫の塩」というオリジナルの塩を使う。「私の料理人人生を変えた塩です」と奥田シェフ。圧内浜にあがる魚介に合う塩を探していた時、新潟県村上市の製塩所「笹川流れ塩工房」の小林久さんに出会ったそう。魚が棲む圧内近海の海水を原料に作る、小林さんの塩に魅せられた奥田シェフは、オリジナルの塩づくりを小林さんに依頼。そうしてできたのが「月の雫の塩」だった。塩だけで素材の持ち味を引き出せるようになったことで、奥田シェフの料理はどんなシンプルになっていたという。その独創性に富んだ料理は、国内外から注目を集めている。「小林さんと出会い、塩屋さんともご縁ができました。この料理を表現する、イメージにぴったりの琉球ガラスの皿を作ることもできました」と奥田シェフ。今日もこのひとさらから、アル・ケッチァーのコース料理がはじまる。
<雪塩の乳酸香でまとめたサクラマスとホウレンソウ>
サクラマス(サーモンで可)の切り身は、表面に雪塩をふり、皮面だけ小麦粉をつけて、オリーブオイルを熱したフライパンで焼く。ホウレンソウは半分に切り、葉の方は雪塩を入れた湯でさっとゆでる。残り半分は雪塩をまぶしてからフライパンで焼き、仕上げにオリーブオイルを合わせる。サクラマスとホウレンソウを皿に盛り、雪塩をふり、オリーブオイルを回しかける。
アル・ケッチャーノ
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